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【連載第一回】UMPCのご先祖様を振り返ってみる

July 05, 2022

著者:ジャイアン鈴木

左:著者所有のHP200LX 右:GPD WIN

大きなカラダで小さなガジェットが大好きなジャイアン鈴木です。

日本初のUMPC・ゲーミングUMPC専門店であるハイビームが運営する本サイトにて、月イチ連載を担当することになりました。UMPCのレビュー、Tips、検証ネタなどをやっていこうと考えておりますが、今回は「そもそもUMPCってなに?」というテーマで、UMPCのご先祖様を振り返っていきたいと思います。

「UMPC」が「Ultra Mobile PC」の略だということはご存じですよね? ただしUMPCの定義というとちょっと話がややこしくなります。

インテルが2007年に提唱したガイドライン「Ultra Mobile Platform 2007」では、4~7型のタッチディスプレイを搭載していることなどを要件に挙げています。ただUMPCのコンセプトはこのときに始まったわけではありません。


ソニーはそのずっと前の2002年から「VAIO U PCG-U1」という6.4インチノートPCを発売していますし、さらに遡れば1995年10月には日本IBM「Palm Top PC 110」(4.7インチ)、1996年4月には東芝「Libretto 20」(6.1インチ)、1998年9月にはソニー「VAIO C1 PCG-C1」(8.9インチ)などなど、UMPCを名乗っていなくても「超小型PC」は数多くリリースされていました。


ソニー「バイオU」PCG-U1

※ソニー「バイオU」PCG-U1公式サイトから引用

6.4インチ/約820g

型番の「U」には「Ultimate Mobile」という意味もこめられています。Ultra Mobileよりカッコイイですね



日本IBM 「Palm Top PC 110」

IBM

4.7インチ/約630g

愛称はCMキャラクターから「ウルトラマンPC」と名付けられていました。秋葉原のラオックスで買えずに1時間眺めていた記憶があります


東芝「Libretto 20」

6.1インチ/約840g

ボディーサイズは「VHSビデオテープ」と同等……でイメージできますか?ハードディスク換装などの改造が流行りました



ソニー「バイオC1」PCG-C1MZX

8.9インチ/約998g

ディスプレイ上部にはスイベル方式のウェブカメラを内蔵。この時代のソニー製品の凝縮感は辛抱たまりません


というわけで、インテルが「Ultra Mobile Platform 2007」という「独自ガイドライン」を定義したのは確かですが、UMPCという「ジャンル」が生まれたのは、もっと昔。個人的には、1991年のHP「HP95LX」まで遡っても構わないと考えています。遡りすぎでしょうか? でも「ポッケにコンピューターが入る、すっげ!」と衝撃を受けたのは、このシリーズなんです。筆者が買ったのは2世代あとの「HP200LX」でしたけども。


HP「HP200LX」

実測5.1インチ/約320g

これは、HP「HP95LX」、「HP100LX」に続く3世代目の「HP200LX」。マイクロソフトの「フライトシミュレーター」もプレイできました


さて、2007年4月には富士通「FMV-BIBLO LOOX Uシリーズ」(5.6インチ)、2008年6月にはシャープ「Ultra Mobile WILLCOM D4 WS016SH」(5インチ)、2009年1月にはソニー「VAIO type P」(8インチ)、2009年9月には工人舎「KOHJINSHA PM PM1WX16SA」(4.8インチ)、2009年9月にはオンキヨー「BX407A4」(4.8インチ)などが発売され、日本のUMPC市場はかつてない活況を呈していました。

しかし、2010年8月にUMPC冬の時代が突然到来します。あ、2011年7月には富士通「Windows7ケータイ F-07C」(4インチ)が発売されていますね。でも、F-07Cはケータイなので、UMPC冬の時代のスタートは、本稿では2010年8月といたします。



富士通「FMV-BIBLO LOOX Uシリーズ」

5.6インチ/約580g

画面はコンバーチブル型。ペンを内蔵しており、ペン操作が可能。指紋認証センサーが搭載されていたので、小さなキーでパスワードを入力する必要はありません



シャープ「Ultra Mobile WILLCOM D4 WS016SH」

5インチ/約460g

ディスプレイはスライド式。PHS通信回線により単独でデータ通信、音声通話可能です。本製品はあまりじっくり触っていないのですが、シャープ製だけにPDA「W-ZERO 3」とキーのフィーリングが似ていたと記憶しています



ソニー「VAIO type P」

8インチ/約634g

ズボンのポケットに入ることから「ポケットスタイルPC」と謳われていました。カラバリも豊富。いまでも魅力的なデザインです



工人舎「KOHJINSHA PM PM1WX16SA」

※工人舎「PMシリーズ」公式サイトから引用

4.8インチ/約345g

「ゲーム機サイズ」と謳われたUMPC。サイズ感はGPD Pocketに近いです



ONKYO「BX407A4」

※ONKYO「BXシリーズ」公式サイトから引用

4.8インチ/約370g

工人舎「KOHJINSHA PM PM1WX16SA」をベースにスペックを向上。光学式ポインティングデバイスも内蔵しました



富士通「Windows7ケータイ F-07C」

4インチ/約218g

ケータイモードとWindows7モードを切り替えて利用可能。使う人を選ぶ、いい意味で変態端末でした



UMPC冬の時代が明けたのが2016年10月。GPD社から5.5型のゲーミングUMPC「GPD Win」が登場し、続けて7型UMPC「GPD Pocket」が2017年10月に発売。さらにOne-Netbook、AYANEOなどが参入し、UMPC市場が大復活を遂げました。



UMPC冬の時代を終わらせた立役者が5.5型のゲーミングUMPC「GPD Win」

ハイビームによれば、現在取り扱っているUMPC、ゲーミングUMPCは全部で12機種。処理性能、画面サイズ、ゲームコントローラーの有無など、目的に応じて多くのラインナップから選択できるわけです。古くからのUMPCファンとしては、2010年8月から2016年までの冬の時代が噓のようです。ただし、このなかに日本メーカーが含まれていないのがちょっと寂しいですけども……。

さて現在では、ヨドバシカメラでOne-NetbookのゲーミングUMPC「ONEXPLAYER」の常設展示がスタートしており、ゲーミングノートPCの売り上げランキングで一時はトップを獲得するなど熱い注目を集めています。また、ゲームのビッグタイトルがコンシューマーゲームと同じタイミングでPCゲームでも発売されることが多くなっており、このこともゲーミングUMPCの追い風となっています。

全国のヨドバシカメラで「ONEXPLAYER」の常設展示が22年6月22日からスタート(一部の地域を除く)


さて、ハイビームは秋葉原でリアル店舗を構えており、ONE XPLAYER、One-Netbook、GPD、AYANEOなどの製品を常設展示しています。新たな世代になったUMPCが一堂に会した店舗には、UMPCの最新事情に詳しい店員さんが常駐しており、サイズ感、操作感、動作スピードなどをじっくり試しつつ、気に入ったら即購入が可能。秋葉原を訪れた際にはぜひお立ち寄りください。

UMPC、ゲーミングUMPCの品ぞろえは間違いなく秋葉原イチ。専用アクセサリーや消耗品のほか、お得な整備品も販売されています



前述の通り、筆者が個人的に初めて購入した超小型PCが「HP200LX」。それと比べると昨今のUMPCの性能、機能は隔世の感を禁じ得ません。しかし、最新UMPCだからこそ可能な楽しみ方、便利な活用法などを、本連載でお伝えしていきたいと考えています。なにかやってほしいネタがあったら、筆者のTwitterアカウント(https://twitter.com/giansuzuki)までお知らせください。それでは、よいUMPCライフを共に過ごしましょう!



ジャイアン鈴木

EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。

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